コンセプテュアル スパゲッティー

上記のジェラルドは信じられない程、貧乏に強い。。というか~あの人はお金と言う物自体を持った事があるのかな?という人ですが、一般的にフランスのボザールの学生生活は、最貧困層の生活を普通に、楽しんでいるかのようです。フランスの学生達は一般的に良く友人宅に集まり食事を取りますが、私が呼ばれた一般の学生の食事会とボザールの学生の食事会では、明らかに生活レベルの違いが解ります。フランスの学生は良くスパゲッティーを食べます。日本の感覚ではインスタントラーメンですね。一般学生の食事会では、そのスパゲッティーはたまには出ますが、どこもそれぞれ工夫のされた食事を出してくれ必ず。なんらしかのデザートも付きます。スパゲッティーが出されたとしても何らかの工夫がされていて何処かにおフランスの香りがしますね。ボザールの学生の食事会の方も、それなりの工夫がされているのですが。。
私は、ラーメン、うどん、そば、そうめん、と麺類にはうるさい方で、微妙な麺のこしの感覚が麺類の美学の本髄と思います。が、その美学を追求する最高峰のボザールの学生達が私の麺類の美学をずたずたにしてくれました。
始めてボザールの学生達の集まる食事会に招待して貰った時でした。
みんなでわいわいとサラダのソースを作ったり、スパゲッティーを作ったり。。。
(これだけです。。)。
で私はスパゲッティーの麺を茹でる仕事を自分から受け持ちました。何故か、と言うと私は、フランスに来てスパゲッティーの麺茹での秘訣を入手したので、それを見せて遣ろうと思ったからです。
その秘訣は、ジョンルークの作るスパゲッティー麺の茹で方です。
彼の作るスパゲッティーは、私の人生の中でそれまでに食べたスパゲッティーの中で、最もエレガントで、最も繊細で、心の透明感が増す感じの最も美味しいスパゲッティーでした。何度、食べても同じ感覚を提供してくれますので、本物と思います。
私はある日、彼の作るスパゲッティーの美味しさの秘訣を盗み取る事に成功しました。その頃、彼は懐中時計を使用していまして、彼は麺を茹でている間、頻繁にその懐中時計をポケットから取り出し茹でる時間を計っていました。その様子が、子供の運動会の徒競走で自分の子供だけを必死に応援し、挙句の果てには、子供のタイムを取っている、お父さんの様な愛情のこもった仕草だった事を、今でもはっきり覚えています。
彼は私に教えてくれました。10分30秒。

スパゲッティー麺茹でを受け持った私は、得意げにジョンルークの10分30秒で火を消し、水切りをしようとした瞬間、私の鍋を一人の学生が横からもぎ取りました。
私は???
彼は少し怒った様な感じで、もっと茹でなければいけない。と言っています。
彼曰く、スパゲッティーは20分以上茹でないといけないと言うのです。
スパゲッティーの包装の袋にもその様な事は書かれていないし、何だろう?
もしかして、また何か、おフランス家庭料理の裏技を入手できるかも?
という事で彼の言いなりに。。結局27分。
で、蓋を開けてびっくり!麺がふやけて鍋の口ぎりぎりまでスパゲッティーが。。
いかにも、気持ち悪そう。。
しかし、私は、多分これから裏技を使うのかも?と不安と期待の目で見ていると。
その目一杯ふやけたスパゲッティーに安物のソースの缶を開け、トバ、ビジャ、ズボ。
スパゲッティーの麺をその缶に入れこびりついたソースを綺麗に取りドバーと最後に鍋に戻し出来上がり。
ふやけたスパゲッティーは、お風呂でのぼせる位、長湯した後のふやけた白い手を見る様に、何時ものスパゲッティーより白く、ソースと混ぜる事により麺は短く切れ、見た目は正に、
蛆虫のおまけ付きう○こ。。
私は何でこんなに茹でるの?と聞くと彼のコンセプトは、量が多くなる。
なるほど。
そこには、何も言えない私が居ました。

ジョンルークの10分30秒コンセプト。
ボザールの学生の20分以上コンセプト。
両方とも妙に私を納得させる物ありました。
後日、私はジョンルークにこのスパゲッティー茹で20分以上の話をした所、実は彼も学生の時、同じような感じだった。との事。このボザールの学生がもし有名アーティストとなった時、彼のスパゲッティー茹時間は、短縮しているのでしょうか?
そっと捨てられたスパゲッティーの袋を見てみると、茹で時間12分と書いていました。
多分、日本では、普通に袋の説明を読み12分間位、茹でる。と思います。
袋にそのように説明されているのですから。
もし袋に、“貧しい家庭は20分以上茹でる”とか書いていたら別ですけど。。
小さな事ですが知らず知らず。何も疑問を持たずに、社会のシステムに取り組まれた私には。変に新鮮な物として今でもすぐに記憶の引き出しから、取り出すことが出来る出来事でした。

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この記事へのコメント

BMO
2011年07月14日 15:46
初めまして。先日偶然にもこのブログに出会い、毎回楽しく拝見しております。私も20数年前に少年アートと出会い、すごく衝撃的でこれを超える現代美術の本って未だに無いと思います。
グルノーブルでの美大生の生活、読んでいてワクワクしてきます。
復帰
2011年07月14日 21:20
有難うございます。
そうですね、私自身は、海外生活が長く、現在、日本での美術に関する出版物の事には、恥かしながら疎いのですが、少年アートの様に、若者の指針となる読み物が出て欲しいですね。

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