ウルトラマンの家庭生活

話をグルノーブルのボザールに戻します。
どうしても言語が不慣れと言う事で、まず話しやすいのは、同じ留学生と言う事が良くあります。本当は、フランス人の彼氏、彼女の方が言語習得の為には良いのですけど、ちょっと寄り道して他の見聞や観る方向の習得にも役にたちますので、まーそんなにお難く考えず、臨機応変に対処しましょう。
私の場合、その最初の寄り道が、寄り道にしては遠すぎるアイスランドでした。
その名もビョーク、そう、あの歌手のビョークではありません。
が、アイスランド人というのは、一種独得な雰囲気、行動、考え方を持つ国民、国だと思います。あの歌手のビョークからも感じられると思うのですが、何か“妖精”と“影”を同時に感じさせられます。敷いて言うと、妖精の魅力を引き出させる為の影の存在。って感じです。
そういった魅力に私はつかの間の寄り道をしてしまいました。
3月にグルノーブルのボザールに入学した私はバカンスで人の居なくなったグルノーブルの暑い夏を1人で過ごしていました。そう言う退屈なある日、このビョークから電話で“一人だったらアイスランドに遊びに来れば?”と、
これはLove Storyの始まりか?と読んだ私は知らず知らずのうちに足は格安チケット屋へ。
リヨン空港からのチャーター便は、夕方8時出発、“これは夜中頃、着くな~”と機内食を取り、うとうとしていると、アナウンスが後、約30分でレイキャヴィークに到着とのこと。窓の外を見ると一面に広がる夕焼け。
“え?うそ!”
“アイスランドってこんなに近いの?“
どう考えてもまだ1時間位しか経ってない感覚。
確か3時間位は乗ると思ったけど。。
窓の外にはかすかな夕日の射光の隙間からちらほら見えるアイスランドの大地が段々と大きく見えて来て、遠くの山々がはっきり見えて来た私は、またもや、
“えええ!!!”
“うそ!”
寝起きの私の目に映っている風景は、ここが地球?という表現がぴったりの、印象画の人達も誰一人表現して来なかった物でした。
空港は溶岩地帯に突然と在るようで、飛行機は、溶岩の隙間から噴出す。ガスか水蒸気か解らない空間に作られた白い柱の間をかいぬぐって、宇宙基地に到着しました。
“ウルトラマンってここで撮影されたの?“
この風景、何処かで見た記憶がある。と記憶を掘り起こしていた私は、それがウルトラマンであった事に気づき、ちょっとした興奮を感じました。
この瞬間からフランスに帰国するまでの私は、正にウルトラマンの動画の中での生活の様に全くリアリティーが持てませんでした。
ビョークのマンションに行くと、お風呂は温泉、何とレイキャヴィークの全家庭には温泉が引かれているそうです。ショッピングセンターで夕食の買い物を済ませて、海岸でボーと海を見ながらこっちがアメリカかー。など思いながら、ロマンティックに海面に沈む真っ赤な太陽のはずが、沈まない。。さらにはゆっくり昇り始め正にウルトラマンの世界。
夜中2時でも外は明るく、映画のセットに来ている様。こういった不思議な光景ばかり見てきた中でも印象的だったのは、路肩に駐車している車より歩道に駐車された多数の乳母車。“何で?“
良く観ると、どの乳母車にも赤ちゃんが!
で、周りには人影無し。
それでも昼間はまだ理解出来るが、夜中2時、早朝2時でも。
こんな事があって良いのであろうか?
どう見てもほったらかし。
Love Storyとなる予定のビョークとの関係もこういう摩訶不思議な風景が、私に恋と言う企画のストーリーを書けなくしている様でした。
Made in Japanで創られた私の頭は、もう一回、分解して脳のニュートロン細胞の再繋ぎ合わせを迫られました。
私は早く地球に戻らなければ。。と焦る私の胸にある赤いランプが点滅している様に感じ、滞在の2週間を毎日、一日数便しか上空を飛ばない飛行機を地球への唯一の帰還の手だてと、一日中待ちあびて空を見ていました。
リヨン空港に着いた私は、まだ実際は数ヶ月しか過ごした事のないフランスが母国の様に感じられ、私の為にドアーを開けて待ってくれている普通の通行人に、はっきりとした大きな声で“パードン“と言っている私がいました。

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